Last updated on 18 May 2022
アメリカでは、約2,000万人もの人が何らかの甲状腺疾患を持っており、そのうちの60%が病識を持っていないとされています。
米国甲状腺協会(American Thyroid Association)の公表したデータによれば、女性は男性と比べて甲状腺に異常を来す割合が高いようです。 ((American Thyroid Association. (2019). Thyroid Information | American Thyroid Association. [online]))甲状腺治療には通常、長く使用されてきた甲状腺治療薬が処方されますが、
数多くの重篤な副作用が現れるという理由から、近年それらの処方薬の安全性が疑問視されています。そのため、現在では甲状腺疾患治療の代替医療の研究が求められています。CBDは、甲状腺に関連するさまざまな問題に治療効果があることが、多くの研究によって明らかになっており、この疾患の新しい治療薬としての期待が高まっています。
甲状腺は、内分泌系の重要な器官で、声帯の下部にあり、蝶のような形をしています。甲状腺は、T4(テトラヨードサイロニン)と、体の代謝管理と細胞がどのようにエネルギーを利用するかを決定する役割を持つT3(トリヨードサイロニン)という2つの重要なホルモンの産生と分泌を行っています。
また、心拍数や体温など、いくつかの体内プロセスのペース管理も行っています。一般的に、体重、気分、肉体的・精神的エネルギーレベルの調整には体全体の代謝管理が欠かせないと言われています。
さらに、甲状腺は体内に取り込まれた食物をエネルギーに変換し、体が正常に機能する下支えとなっています。多くの甲状腺疾患は、甲状腺ホルモンの分泌に乱れが生じる事で引き起こされますが、甲状腺疾患にはさまざまな種類があり、それぞれ固有の原因、リスクがあるため、丁寧な診断が必要となります。このように、大きな健康問題を引き起こす甲状腺疾患ですが、これまでの多くの研究によってCBDの甲状腺疾患に対する治療効果が明らかになってきた事で、今後の甲状腺疾患治療が大きく進歩していく期待がされいます。
CBDとエンドカンナビノイドシステムが甲状腺ホルモン分泌に与える影響
人の体に備わっているECS(エンドカンナビノイドシステム)は、さまざまな面でその多彩な機能を発揮しています。 (endocannabinoid system)甲状腺機能のような重要なプロセスを補助して体調を調整する役割も、その一つです。アメリカ国立衛生研究所(NIH)による研究論文によれば、甲状腺の細胞内にカンナビノイド受容体が存在する事がわかりました。1
ところが、カンナビスの使用に関する規制や制限が緩和されなければ、実際にカンナビノイドがどのようにして甲状腺疾患の治療に役立つのかを詳しく調べる事ができないため、研究は困難を極めています。このような理由で、人を対象とした臨床研究はまだ十分に行われていませんが、2002年に行われた動物を対象とした研究では、2カンナビノイド受容体であるCB1が甲状腺ホルモンの分泌量をコントロールして、
その働きに大きな影響を与えることがわかりました。また、2015年にNIH(アメリカ国立衛生研究所)によって行われた研究では、カンナビノイド受容体が理論的には甲状腺の良性・悪性病変の治療に寄与するという事が明らかになりました。1
さらに、学術雑誌『Journal of Endocrinology』に掲載された研究では、エンドカンナビノイド受容体が脳の各部位に存在することが報告されました。3エンドカンナビノイド受容体は、甲状腺に信号を伝える機能があります。この事が、CBDなどのカンナビノイドは甲状腺の機能や健康に良い影響を与えると言われている理由です。
さまざまな種類の甲状腺疾患
甲状腺疾患とは、甲状腺に影響を与える疾患の総称で、いずれの甲状腺疾患も甲状腺の機能またはその構造に影響を及ぼします。通常、甲状腺疾患は甲状腺から放出される甲状腺ホルモンの分泌が過剰(甲状腺機能亢進症)か、不足(甲状腺機能低下症)する事で引き起こされます。代表的な甲状腺の疾患としては、以下のようなものがあります。
甲状腺腫 甲状腺腫は、がんではないにもかかわらず甲状腺が腫れる病気で、主にヨウ素が不足した食事によって引き起こされます。年齢に関係なく発症しますが、特に40歳以上の人が罹患する割合が高いと言われています。またその他の原因としては、特定の薬の服用、家族の病歴、放射線被曝、妊娠などが挙げられます。結節性甲状腺腫結節性甲状腺腫は、一般的に多く見られる内分泌疾患で、ほとんどの場合において兆候や症状が起こらないのが特徴です。しかし症状が出る場合には、甲状腺機能亢進症、顎や耳にまで及ぶ結節部位の痛み、嚥下困難、息切れ(大きな結節がある場合)、まれに話しづらさや声の枯れを伴います。ただ、ほとんどの結節性甲状腺腫は良性なため、健康に悪影響を及ぼす事はなく、がんに成長するケースは男性や高齢者の患者のごく一部です。甲状腺がん甲状腺がんは、がん全体からすると珍しい部類に入りますが、内分泌の分野においてはよく見られる疾患として認識されています。自然に、あるいは有害物質や汚染された環境に曝されるとDNAが突然変異し、健康な甲状腺細胞を変化させますが、この遺伝子の変化によって、他の甲状腺が従っている規則を破り、細胞が急速に自己複製します。残念ながら、この病気の本当の原因は現在も不明で、危険因子も特定できていません。
甲状腺機能亢進症とは
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺の機能が亢進(ホルモンの分泌過剰)していることを示す甲状腺疾患で、女性の100人に1人がこの病気を患っていると言われています。4一方で、男性にはあまり見られない疾患です。甲状腺機能亢進症を引き起こす原因は複数あり、ヨウ素の過剰摂取、甲状腺の炎症、精巣や卵巣の腫瘍、下垂体や甲状腺の良性腫瘍、薬や栄養補助食品からのテトラヨードサイロニンの過剰摂取などが挙げられます。
また、甲状腺ホルモンを過剰に分泌するように抗体を誘導するグレーブス病も、甲状腺機能亢進症の主な原因の一つであり、約70%の甲状腺機能亢進症患者がグレーブス病を患ってるとも言われています。結節性甲状腺腫ができると、甲状腺がホルモンを過剰に分泌するようになり、この状態を多結節性甲状腺腫または中毒性結節性甲状腺腫と呼びます。甲状腺ホルモンの分泌過剰は次のような症状を引き起こします。
甲状腺のためのCBD – 甲状腺機能亢進症の治療にCBDが役立つメカニズム
甲状腺機能亢進症の患者の多くは、CBDを使用することによってこの疾患の症状が緩和されたと報告しています。CBDオイルを定期的に使用することで、慢性的な下痢が改善し、それによって食欲が回復して正常な体重に戻ります。また、CBDはイライラや不安による睡眠障害の緩和、心機能の調整、指や手の震え、筋肉痛などの軽減などの治療効果もあります。
CBDは甲状腺疾患の薬に影響を与える?
レボチロキシンなどの甲状腺疾患に使われる治療薬とCBDの相互作用性についての臨床研究や資料は今のところありませんが、「服用中はグレープフルーツジュースを控えてください」といった趣旨の表記があるかどうかが、CBDとの飲み合わせが安全かどうかの判断基準となります。現在、85種類以上の薬がグレープフルーツと相互作用する事がわかっていますが、そのリストにはいずれの甲状腺疾患治療薬の名前も含まれていません。5
そうは言っても、万が一のことを考えてCBDと処方薬を合わせて服用していく際には、処方薬の表記に目を通し、かかりつけの医師に可能であれ相談するようにしてください。
甲状腺機能低下症とは
甲状腺機能低下症は、甲状腺機能亢進症とは反対に甲状腺が十分なホルモンを生成できなかったり、活動が低下している状態を指します。この疾患は通常、橋本病、放射線治療、甲状腺摘出手術の後に発症する事がわかっています。橋本病のすべての人に甲状腺機能低下症が発症するわけではありませんが、この疾患によって作られた甲状腺抗体がその後の甲状腺疾患の元となる可能性があります。
甲状腺機能低下症の症状は軽いものばかりですが、以下のようにその種類は多岐に渡ります。
- fatigue
- memory problems
- dry skin
- heightened sensitivity to cold
- constipation
- weight gain
- depression
- decreased sweating
- insomnia
- anemia
- loss of libido
- slow heart rate
- weakness
- coma
CBDオイルが甲状腺機能低下症の治療に役立つメカニズム
CBDオイルを甲状腺機能低下症の治療に使用することで、辛い頭痛や関節・筋肉の痛みを軽減、もしくは完全に消す事ができると言われています。また、睡眠の質が上がって安眠できるようになったり、集中力を高める効果により憂鬱感や緊張感が解消します。
橋本病とは
橋本病は、別名「慢性リンパ球性甲状腺炎」とも呼ばれ、甲状腺機能低下症の中で最もよく見られる病気の一つです。基本的には年齢に関係なく発症しますが、特に中高年の女性が罹患する割合が高い疾患です。この疾患では、免疫システムが甲状腺を攻撃する事でホルモンを作る機能が徐々に損なわれていきます。
軽度だと明らかな症状が現れない場合も多く、発症から数年間は安定していて、症状が全く出ないこともあります。また、症状の種類もこれと言った特徴がなく、他の疾患で起こる症状と多くが重なるため、診断には注意が必要です。
- depression
- fatigue
- mild weight gain
- constipation
- dry, thinning hair
- dry skin
- irregular and heavy menstruation
- puffy, pale face
- intolerance to cold
- goiter or enlarged thyroid
CBDオイルを橋本病治療に使用する方法
橋本病は、身体・精神両方にダメージを与える辛い疾患ですが、CBDオイルは、人の体内に生まれつき備わっている内因性カンナビノイドに作用してそれらの症状を抑えます。橋本病を語る際にCBDが取り上げられる事が多いのは、橋本病は他の甲状腺疾患と同様、体の正常な機能のバランスが崩れている事で起こりますが、CBDはそうしたホメオスタシス(恒常性)を維持して体のあらゆる面でのバランス調節する役割があるからです。CBDオイルによる橋本病の治療が成功したという事例は、これらの学説を裏付けています。
甲状腺炎とは
甲状腺炎は、甲状腺の炎症を伴ういくつかの疾患からなり、血液中の甲状腺ホルモン濃度の異常な低下もしくは増加を引き起こします。通常、甲状腺がダメージを受けて甲状腺細胞が損傷したり炎症を起こす事で発症します。このことから、この病気は免疫系の誤作動と考えられています。免疫系が誤作動を起こす原因としては、バクテリアやウイルスによる感染が挙げられます。また、医薬品の中には甲状腺に悪影響を与えるものがあり、そうした薬の副作用により甲状腺炎が引き起こされる場合もあります。
甲状腺炎にはいくつかの種類があり、橋本甲状腺炎(甲状腺機能低下症の主な原因)、出産後甲状腺炎(通常は産後に発症)、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎、放射線誘発性甲状腺炎、薬剤性甲状腺炎、リーデル甲状腺炎、急性甲状腺炎などが代表的な甲状腺炎です。これらの甲状腺炎には、それぞれ異なる原因、リスク、診断方法があります。
このように、甲状腺炎にはさまざまな種類があるため、症状や兆候も様々ですが、最も多く見られる症状は以下のとおりです。
- depression
- fatigue
- weight gain
- cold intolerance
- muscle cramps
- dry hair and skin
- decreased concentration
- constipation
- sleepiness
- leg swelling
- puffy eyes
症状が重度化すると、低体温、徐脈、昏睡、心不全などの症状も起こります。
CBDが甲状腺炎を治療するメカニズム
CBDには免疫系を調整する働きがあるため、甲状腺炎の諸症状を軽減するだけでなく、炎症プロセスそのものを阻害する効果をもたらすと言われています。この学説ははっきりと科学的に証明されているわけではありませんが、甲状腺細胞の破壊を食い止めるというカンナビジオールの特徴を考えれば極めて有力と言えます。
甲状腺疾患治療のためのCBDの使用方法
甲状腺疾患の治療としてCBDを使用する際に有効とされる使用方法や製品タイプはいくつかありますが、高品質のCBDオイルの舌下摂取が最も効果的で強力な摂取方法だと言えます。オイルは分子を運ぶのに最適な成分です。そのため、他のタイプのCBD製品よりも多くのカンナビノイド分子を体内に運ぶことができるのです。このタイプは、舌の下に滴下して飲み込む前に30~90秒ほど口に含んだままにしておく方法がいいとされています。こうする事で効率よく体内に吸収されます。
CBDオイルを初めて経験する場合、1日3回以上の使用はお勧めしません。
甲状腺疾患治療としてCBDを使用する場合、適切な摂取量は症状の重さによって変わります。また個別の体質などもあり、CBDに対する反応は人によって大きく異なります。そのため、自分の体の反応や症状の改善のスピード・度合いをつぶさに観察しながら最適な摂取量を決めていくのがいいでしょう。
当サイトでは、CBDの専門家ライノフ氏とバーンバウム氏の著書『CBD: A Patient’s Guide to Medicinal Cannabis』6
ステップアップ法については、こちらの記事「CBDの摂取量」の中で、自分に合ったCBDのを計算することができますので是非ご覧ください。 CBD dosage.
まとめ
CBDオイルによる甲状腺疾患治療で最も大きな特徴といえるのが、単一の成分による投薬治療だという事です。CBDオイルは、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺炎、甲状腺腫など、あらゆる種類の甲状腺機能不全の治療に役立つと言われています。こうしたCBDの多岐にわたる治療効果に関する学説が正しいことを示すいくつかの事例が報告されています。また、すでに複数の医学研究が、カンナビノイドが甲状腺疾患の治療に効果があることを実証しています。
CBDオイルが甲状腺疾患にもたらす効果を具体的に調べた臨床試験は、それほど多くは行われていません。しかし、CBDが体内のエンドカンナビノイドシステムと作用するメカニズムへの理解が深まってきている事で、CB1・CB2受容体が、脳や甲状腺、そして体全体の器官構造のシステム間の細胞間相互作用を起こして恒常的な甲状腺の調節に大きな役割を果たしている、という仮説の信憑性が高まりました。
甲状腺疾患の治療に、その仲間であるカンナビスやTHCではなく、CBDだけが注目されていることを不思議に思うかもしれませんが、それはひとえに、CBDが向精神作用を持たないカンナビノイドだからです。つまり、CBD単体では「ハイ」な状態にはならないのです。言うまでもありませんが、カンナビスを医療目的で使用したいと考えている人のほとんどは、こうしたカンナビスの精神を活性化させる効果には興味がありません。
参考資料
- Lakiotaki, E., Giaginis, C., Tolia, M., Alexandrou, P., Delladetsima, I., Giannopoulou, I., Kyrgias, G., Patsouris, E. and Theocharis, S. (2015). Clinical Significance of Cannabinoid Receptors CB1 and CB2 Expression in Human Malignant and Benign Thyroid Lesions. BioMed Research International, 2015, pp.1-7. [↩] [↩]
- Porcella, A., Marchese, G., Casu, M., Rocchitta, A., Lai, M., Gessa, G. and Pani, L. (2002). Evidence for functional CB1 cannabinoid receptor expressed in the rat thyroid. European Journal of Endocrinology, pp.255-261. [↩]
- Pagotto, U., Marsicano, G., Cota, D., Lutz, B. and Pasquali, R. (2006). The Emerging Role of the Endocannabinoid System in Endocrine Regulation and Energy Balance. Endocrine Reviews, 27(1), pp.73-100. [↩]
- Hormone.org. (2019). Thyroid | Hormone Health Network. [online] [↩]
- Bailey, D., Dresser, G. and Arnold, J. (2012). Grapefruit-medication interactions: Forbidden fruit or avoidable consequences?. Canadian Medical Association Journal, 185(4), pp.309-316. [↩]
- Leinow,, L. and Birnbaum, J. (2017). CBD: A Patient’s Guide to Medicinal Cannabis. North Atlantic Books. [↩]
Author
With close to two decades of successful stint in the Media industry, I felt I was surely missing a piece in my life puzzle. I took a break and set out to seek the purpose of my life. I travelled, lived out of a suitcase, let things flow into life without resisting, and after five challenging years, I found my rhythm. I love to write about Cannabis and Health and try my best to simplify esoteric concepts into simple ideas for life.